~塗り壁のメリット・デメリット~
壁材の種類はとても多く、どんな壁材にするか迷っておられる方も多いのではないでしょうか。
壁は内装の中でも部屋の雰囲気を印象づける重要なポイントです。
塗り壁とクロスでは見た目も雰囲気もまったく違ってきます。
ただし、デザイン性だけでなく、機能面やお手入れ方法やコストパフォーマンスなどの
特徴を知っているかどうかで完成後の満足度が変わってきます。
今回は、塗り壁の中の珪藻土と漆喰のメリット・デメリットを紹介いたします。
珪藻土の特徴
多くの住宅でクロス(壁紙)が使用されている一方、塗り壁を選ぶ人も増えています。
塗り壁は落ち着きのある自然な風合いが魅力の内装材で、日本では昔からおなじみの壁材です。
塗り壁にもいくつか種類がありますが、代表的なものに「珪藻土(けいそうど)」があります。
珪藻土は、植物性プランクトンの化石が堆積してできた土で、高温多湿の日本の住環境に適した自然素材です。
珪藻(藻の一種)という植物性プランクトンの化石が主原料で作られています。
非常に細かい穴が無数にあいた多孔質素材のため、この穴が様々な良い効果をもたらしてくれます。
また、珪藻土は耐火性が高く、耐火レンガの原料や七輪に使われています。
近年では高い吸水効果を利用して、コースターやバスマットなどにも幅広く商品化されています。
珪藻土のメリット
1.調湿性が高い
他の自然素材と比べて調湿効果がとても高いのが一番の特徴です。
珪藻土には無数の小さな穴が空いており、その穴を通って湿気が行き来できるようになっています。
梅雨から夏場の湿度の高い時期には、珪藻土が湿気を吸って快適性を高めます。
冬場の乾燥の時期には逆に湿気を放出するので、結露の防止にも役立ちます。
2.消臭性が高い
珪藻土には消臭効果もあります。
湿気が減った時に臭いを感じにくくなるという特性を活かしたものなので限界はありますが、
部屋の臭いが気になる方には魅力的な壁材となります。
特に、たばこや食事、ペットの臭いなど、生活臭に効果があるとされています。
3.独特な肌触り
珪藻土の塗り壁は、「ゆず肌」と呼ばれる表面がザラザラとした仕上げになります。
壁に陰影ができるので、無機質なツルっとした仕上げより、
視覚的にも触覚的にも暖かみを感じられる雰囲気になります。
珪藻土のデメリット
1.汚れが付きやすく、掃除が困難
珪藻土の小さな穴は調湿効果がありますが、汚れを吸い込んで取れなくなってしまうので染みができてしまいます。
拭き掃除ができないので、汚れが気になる場合は塗りなおす必要があります。
特にキッチン周りの油汚れや調味料などの汚れは取りにくいので注意が必要です。
2.擦れに弱く、補修が困難
壁にぶつかると珪藻土がポロポロと取れてしまうことがあります。
壁に強い衝撃を与えた場合、ひび割れが起こることもあるので使用する場所には注意が必要です。
また地震などの揺れでも、ひび割れが出てくることがあります。
大きなひび割れを、自分で補修するのは困難なため、業者に依頼することになります。
3.コストが高くなる
塗ってから乾くまで施工する手間や時間がかかるため、クロスと比べて工期が長くなり施工費が高くなります。
また、職人によって手作業で進められていくため、職人の経験や技術の違いにより、
仕上がりの質や耐久性が変わってくることもデメリットとして挙げられます。
漆喰の特徴
塗り壁におけるもう一方の選択肢として「漆喰」があります。
漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)が主原料で、石灰石(炭酸カルシウム)を1000度以上の高温で熱したものが消石灰です。
イメージしやすいものとして、学校のグラウンドに引く白線が消石灰です。
そこに水・のり・繊維等を加えて練り上げたものが漆喰となります。
消石灰は、空気中の二酸化炭素を吸収し続け、ゆっくりと時間をかけて石灰石に戻ります。
その時間はおおよそ100年です。
この長い間、住まいの壁として使い続けることのできる堅牢性・耐久性の高さも漆喰の魅力の一つです。
また、水に強い漆喰は外壁材としても使用でき、お城や蔵の壁に使われています。
漆喰のメリット
1.耐久性が高い
漆喰は耐久性が高く、日本では古くから室内だけでなく外壁や堀などにも使われてきました。
漆喰の成分である消石灰は静電気を溜め込まない性質があるため、
ホコリなどを付着させにくいので汚れがつきにくくなります。
そのため時間が経っても白さを保つことができます。
また、漆喰は珪藻土と比べてツルっとした仕上がりになるので、
多少のことで剥がれ落ちることはありません。
白くきれいな壁でシンプルな空間にしたい方におすすめです。
2.メンテナンスが不要
漆喰は時間が経ってもあまり変化がなくきれいな状態が続きます。
基本的にメンテナンスが不要なので、長い目で見ると経済的にもお得になってきます。
汚れなどが気になってメンテナンスをする際は、壁を壊すことなく、
漆喰壁の上に薄く漆喰を上塗りする事できれいにすることができます。
軽い汚れであれば消しゴムなどで消すこともできます。
3.防カビ・抗菌効果がある
原料が石灰石でアルカリ性のためカビが発生しにくく、
化学物質や二酸化炭素を吸着させる効果があります。
また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを分解する効果や、
脱臭効果などもあり、健康志向の方には最適の内装材です。
4.耐火性・防音性が高い
漆喰はほとんど無機質の不燃素材です。
壁に塗った漆喰は時間をかけて元の石灰岩に戻っていくため燃えません。
ビニールクロスと違い、加熱されてもダイオキシンなどの有毒ガスが発生することもなく、
安全な素材です。
また、重たい素材なので音が通りにくく、防音性が高いというメリットもあります。
5.暖かい素材感
漆喰は塗りパターン(模様)を変えることで塗り壁らしい凹凸を出すことも出来ます。
凹凸があるとより素材感を感じられるようになります。
漆喰は和風の家だけでなく、洋風のオシャレな住宅にも合うので、
意匠性にこだわる人におすすめです。
職人の手仕事によって、ビニールクロスや珪藻土にはない独特な味わいが出せるのもメリットです。
漆喰のデメリット
1.ヒビが入りやすい
漆喰は伸縮性が少ないため、短時間で乾燥させたり地震などの強い力が加わったりすると、
ヒビが入ることがあります。
ツルっとした仕上げになるため、細かいヒビでも目立ちやすくなります。
2.汚れが目立つ
漆喰は真っ白なので、よく触れるスイッチ回りが手垢で汚れやすくなります。
また、水を吸う性質があり水分による汚れは染み込んでしまいます。
早めに処置をしないと汚れが落ちなくなってしまうので注意が必要です。
もし汚れてしまった場合、汚れの種類や程度によっては消しゴムで消したり、
霧吹きで定期的に水をかけることで目立ちにくくなります。
細かい紙ヤスリで軽くこする方法や、中性洗剤を使い白い布で染み抜きをするような方法もあります。
もしくは上塗りするのも一つの方法です。
3.コストが高く、職人の質に左右される
漆喰は何度も塗り重ねていくため手間と時間がかかります。
さらに、塗ってから乾くまでの時間もかかり、クロスと比べて工期が長くなるので施工費が高くなります。
下塗りが必要な分、漆喰は珪藻土よりややコストが割高になるといわれています。
また、職人によって手作業で進められていくため、職人の経験や技術の違いにより、
仕上がりの質や耐久性が変わってくることもデメリットとして挙げられます。
まとめ
今回は、珪藻土と漆喰のメリット・デメリットについてご紹介いたしました。
壁材の特徴は、素材によってさまざまです。
コストやバリエーション、デザインや機能性、環境面や健康面、
快適性やなど住宅に何を求め、何を大事にしたいのかを考えて壁材を選ぶことをおすすめします。